love square~四角関係なオトナ達~
───ピンポーン


言葉を遮ったのは玄関のチャイム。


琉偉がすぐにドアを開けると、いく兄ちゃんが立っていた。


「悪りぃ、ちょっとシャンプー切らしてさ。借りたいんだけど」


「あ…あぁ、わかった。持って来る」


「…ヒマ、リ…?」


隠れようにも1ルームの部屋、どうすることもできないあたしはいく兄ちゃんにたやすく見つかって。


「なんで?」


「あの…えっと…」


何も答えられずにいるあたしから目を反らしたいく兄ちゃんは琉偉を強く睨んだ。


「身代わり?」


「何の話だ」


「“ミオ”。ヒマリを恋人の身代わりに使ってんのかって言ってんだよ」


「違う」


「ヒマリ、言っただろ?お前は“ミオ”の代理でしかねぇんだよ」


───ミオ───…?


身代わりって、代理って、帆乃香さんの話じゃなかったの…?
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