love square~四角関係なオトナ達~
「琉偉…?」


「昔の話です」


「今も昔もあるかよ。現在進行形で他の女想ってるヤツがヒマリに触れる権利なんてねぇんだよッ」


え…。


今までの言葉も、キスも…目の前のあたしに言ってくれてたんじゃなくて…“ミオ”さんへの想い?


ウソ…。


ウソでしょ?


あたしは琉偉の目を見ようとするのに、メガネの奥は違う行き先を探してる。


もう一度違う、って。


一言、言ってくれればあたしは琉偉のままでいられる、なのに…!


「ヒマリ、行くぞ」


「でも…。だって…!」


「行くぞッ!!」


いく兄ちゃんは土足のまま部屋へ上がり、あたしの左腕を引っ張った。


「琉偉?どうして何も言ってくれないの?」


「姫葵さん…」


───バタンッ!!


激しく叩きつけられたドアは、あたしと琉偉を隔てた。
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