love square~四角関係なオトナ達~
───ドンッ!!


あたしは食べかけのお弁当の乗った事務所の机を思いっきり叩いて、パパを睨みつける。


「ちょっと、パパ!なんで急に強引にあたしの許可なく呼び戻したの!?マンションも家具もカードも!全部勝手に…!」


…ぎゅ…っ…。


土にまみれた作業服のままのパパが突然あたしを抱き締める。


ゴツゴツした手であたしの頭を撫でて。


もう一度、


「おかえり、姫葵」


かすれた声でタバコの匂いと一緒にあたしを包んだ。


けどそれは、窮屈と苦しさでしかなくて。


抱かれた腕を振りほどくとあたしはピシャリと一言だけ、


「すぐに羽田行きのチケット取って」


と、低い声で言い放った。
< 20 / 240 >

この作品をシェア

pagetop