love square~四角関係なオトナ達~
午後になり、やっとガラス越しのICUへ。


呼吸器や、何本もの細い管で機械に繋がれた春流。


どうしても思い出せない。


春流のあんなに明るかった笑顔が。


「春流…」


どうして1人で死を選ぼうとしたの?


あたしを傷つけることをやめて1人で逝こうとした春流。


いっそ、あたしが。


あたしだけが傷つけば、春流はこんな風に生と死の狭間を行き来しなくても済んだのに…。


「姫葵さん、一旦家へ」


「あたし…ここにいる」


「寝てもいないし、食事も摂っていません。このままでは姫葵さんも体を壊します」


「春流の傍がいいの」


琉偉は諦めた様子でいく兄ちゃんと何か話した後、部屋を去った。


「社長も入院中だし。琉偉は会社に残ってねぇとな」


「いく兄ちゃんも行っていいんだよ?」


「オレはヒマリの傍にいるさ」


「うん…」
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