love square~四角関係なオトナ達~
宿舎の鍵を開けて抱きかかえたあたしを優しくベッドへ降ろす琉偉は。


初めてメガネをはずして、スーツを脱いだ素顔の琉偉。


そんな琉偉に目を奪われて、クラクラ目眩すら覚える。


「姫葵、いい?」


切なく響くその声に頷くことすらできないあたしは。


ゆっくりと瞼を閉じる。


優しく切なく狂おしく。


何度も呼ばれる名前は、初めて愛を知る悦びで満ちていく。


「ルイ…」


「…姫葵」


肌と肌と、心と心。


ずっとこのままでいたい。


“今”を“永遠”にしたい。


だからあたしは必死にしがみつく。


自分の心と意識、琉偉の胸に。


遠くでさえずる小鳥の音を掻き消すように、あたしは鳴く。


どこまでもついていきたいから。


だから琉偉の声をつてに、最後までついていく。
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