love square~四角関係なオトナ達~
重ね重ねイヤになる…。


工藤に連れられて入ったホテル。


…シングルじゃない。


「少し狭いですが、一晩ですので。朝イチの飛行機に乗って北海道ですので、4時起床、ルームサービスは何になさいますか?」


「…なんで?」


「ハイ?」


「どうして小さいベッドが1つなのよ、って言ってんの!」


「姫葵さんの散財の結果、節約せざるを得ませんでしたので」


「節約にも程度ってモンがあるでしょ!?工藤のバカッ」


チャリン、とテレビの前に車の鍵を置いた工藤のメガネの奥が、少し、笑う。


“笑う”は“笑み”じゃなくて、イジワルな“あざ笑い”。


───ポン、ポスンッ


工藤はあたしの肩を押して、ベッドの上へ。


あたしの背中にはベッドがあって。


顔の両脇には、工藤の両手。


少し長めの前髪があたしに触れるほど近く。


息がかかるほど近く、工藤はあたしを見下ろす。


紳士的だったさっきまでと違う、その仕草と目の奥に戸惑いを隠せなくて。


でも、あたしは負けたくなくて。


意地悪なあざ笑いを睨み返す。
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