空色の君へ。〜最後に1度だけ、君の名前を呼ばせてください~

笑い話のように話しているけど、当の本人は本当にしんどそうだ。


気づくと私自身も呼吸が乱れてきていたため、普段よりずっと速く歩いてきてしまっていたことがわかる。


男の子と2人という緊張からだとは思うが、

上条くんの方を一切見ずにここまで歩いてきてしまった自分にすごく嫌気がさした。


きっと、私のペースに合わせて歩いてくれていたんだ。


「少し、そこのベンチで休みましょう!私もそろそろ一回休みたかったんです。」


「うん、そうしたい。ごめんね、ありがとう。」


いつもなんでこんな所にあるのだろうと思っていた坂の途中のベンチに、やっと意味を見いだせた気がする。


「いやー運動不足に重ねて風邪気味でさ。女の子よりも体力ないなんてかっこ悪いなあ、俺。」
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