空色の君へ。〜最後に1度だけ、君の名前を呼ばせてください~
「ほんとだ、すごい雨…お父さんが帰る頃に、傘持って行ってあげようか。」
上条君と別れる時は、もう止みそうだったのに。
こんなに降るなんて、あの日以来…か。
灰色と紺色を混ざ合わせたような薄暗い空から、途絶えることなく降り続ける雨。
土の混じった水溜まりの上を車が通る度に聞こえる、バシャバシャとした音。
どこか雨が当たらない場所を探しているのか、灰色の雲の下を飛び回る黒い鳥の群れ。
全てが、あの日と同じ。
あの日に、戻ったような…
あの日に、戻れるのなら…
また、お母さんに会え…「お姉ちゃん!!」