空色の君へ。〜最後に1度だけ、君の名前を呼ばせてください~
誰かが泣いてるみたい、か…。


その‘誰か‘に、何があったのだろうか。


転んでケガをした?


テストで悪すぎる点数を取った?


告白をして振られた?


それとも…


誰かを…亡くした?


あー、やめやめ。


こんなこと考えても何も意味がない。


それに、誰かの感情が雨に現れるなんて聞いたことがない。


全ては、想像の世界の中の話だ。


「お姉ちゃん、ご飯まだあ?」


「ごめんね、もう少し待っててね。とびっきり美味しいの作るから!」


「やったあ!」


デザートも作っちゃおうかなあ、なんて鼻歌混じりで料理に再度とりかかる。


黒く冷たい雨を含み、鉛のように重くなった心を振り払うかのように。
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