空色の君へ。〜最後に1度だけ、君の名前を呼ばせてください~
男女関係なく人気者で、いつもひとにかこまれて笑っているような気がする。
もちろん先生達からの信仰も厚く、私も何人かの先生からよく話を聞く。
そういえば、最近は成績が好ましくないんだよなあって先生が上条くんのことを言っていたっけ。
「あ……う、ん。忘れてきちゃって。」
わたしにはそんな上条くんの整いすぎた顔を見る勇気もなく、
少し俯きながら言った。
「やっぱり。じゃあほら、これ。使って?」
その言葉と同時に、
自分の靴しか見えていなかったわたしの視界に、突然入った1つの黒い傘。
「え……っ?!」
びっくりして思わず顔を上げると、自分で思っていたよりも近い距離に、
わたしをまっすぐに見ながら微笑む、上条くんが。