空色の君へ。〜最後に1度だけ、君の名前を呼ばせてください~

少し寂しそうに眉を下げる上条くん。


…そんな風に言われたら、断れるわけがない。


「じ、じゃあ…失礼します。」


急いで上靴からローファーに履き替え、さっきのように鞄を傘代わりにしながら隣に並んで歩きだす。


「そんなに離れてたら、一緒に帰る意味ないじゃん。」


そう聞こえた瞬間肩が触れ合うほど縮まった距離に、不覚にもドキッとする。


でもそれと同時に気づいた優しさに、今度は胸があったかくなった。


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