蝶が羽ばたくと
異世界からの来訪者は二人。
同じ髪の色、目の色を持つものと結ばれ
この国を繁栄に導く。
つまり、その一人が
安奈だったと言うわけだ。
言い伝え通りになれば、
安奈はアランと結ばれる。
そっと顔を俯かせた安奈に、
アランはゆっくりと立ち上がった。
「そろそろ帰ろうか。
一雨降りそうだ。」
ゴロゴロと雷が鳴り始める。
黒い雲が此方へ
近付いて来るのが分かった。
「そう、ね。」
続いて立ち上がった安奈は
ただ、刹那げにアランを見つめた。
男達に乱暴されて
死のうとした――――――――。
そんな私を受け入れたのは………
言い伝えがあるからなの?
勿論まだ、恋仲ではない。
だか、安奈はアランに惹かれていた。
「安奈を濡らせる訳に
はいかないからね。」
そっと、手を伸ばしてくる
アランにおずおずと手を伸ばす。
走り出した馬。
安奈はアランの背中に体を預けた。