天才怪盗が拾った少女
にしても、『乱魔』もなめられたもんだよな。
あんな子持ち相手が俺らを上回るってか?
ふざけんな。
バカにしてんじゃねーよ。
決めた。
ターゲットはSに聞くとして、明日にでも活動開始だ。
ラビット。
俺はお前なんかに捕まらない。
「なに勝手に決めてんだよ、この、バカ!!」
喫茶店に戻り、計画を話した。
言うまでもなく、海はド怒り。
いつもは1週間先とかで計画立ててるから、こう言われても仕方ない。
だけど、こればっかりは譲れねぇ。
「頼むよ、空海。今回は見逃してくれ」
「その言葉何回聞けばいいんだよ!いつもいつも……こっちの身にもなってくれよ!」
わかってる。
いつも俺の無茶を空海がフォローしてくれてることくらい。
「とにかく聞いてくれ。みさきの父親がラビットだったんだ」
俺は幼い子をさとすような口調で言った。
空海とSは目を見開く。
「乱魔、正体はバレてないよね…?」
Sは慎重に聞いてきた。
「あぁ。正直、俺も驚いた。こんなことがあんのかって。で、それと同時に悔しかった。俺らの相手は子持ちで十分って言われてるような気がして」
俺の言葉に2人はなにも言い返してこない。
「だからって……」
Sの言いたいこともわかる。
だからってこんな無茶をする必要はない。
だけど……
「俺らの相手はそんなんじゃダメだって知らしめないと俺の気がすまねぇ。だから、今回は脱出が難しいとこに侵入する」
そんで、俺らの力を見せつけてやるんだ。