天才怪盗が拾った少女
しかし……冗談じゃねぇ。
誰が捕まるか。
「お前、何者だ……!」
子供相手なのに、つい強く言ってしまう。
「クク……焦りは禁物、だろう?」
こいつ、なに考えてやがる…………
もう頭が回らない。
演技だったってことか…?
あの『みさき』は嘘だったのか…?
それに、こいつと話してると俺のペースが崩れる……
『乱魔?お前、なにやってんだ?』
なにも知らないと思われる空海の声。
それを聞いて、多少落ち着いた。
「わりぃ、トラブル発生だ」
『は?どういうことだ?』
「思わぬ敵の登場だ」
『みさき』の正体はわからない。
だが、こいつが敵。
俺の勘がそう言ってる。
『誰だよ、敵って』
空海は逆に焦っているようだ。
「……みさき、と言えばわかるだろ」
『っ!?』
声こそ聞こえなかったが、今の空海は数分前の俺と同じような反応をしてるだろう。
きっと、なんにも手につかない状態。
ここは逃げるほうが賢いな……
「おい。名前くらい、教えろよ」
「ん?教えてあるだろう」
「みさきじゃねぇんだろ?」
「ほう……なかなか鋭いな。もっとどんくさいやつかと思ってたんだが」
俺をバカにするような口調。
「いいから教えろよ」
もう、子供とか関係ねぇ。
こいつは俺の敵。
優しくする必要はない。