天才怪盗が拾った少女
第3章
あれから2週間が経った。
俺らはたまり場である喫茶店を離れることにした。
理由は言うまでもない。
三崎知由にあの場を知られているからだ。
いつ三崎知由がバラし、警察があそこに来るかわからない状態であんなとこにはいられない。
常に緊張しっぱなしってのも嫌だし。
それと、三崎知由と住吉雪兎の情報が集まった。
今日は新しいたまり場でその報告を空海とSに聞く。
「まず、三崎知由から──」
空海がそう切り出し、話始める。
まとめると、だいたいこんな感じ。
三崎知由、8歳。
生まれてすぐ施設に預けられる。
1歳のときには、大人が読むような本を読んでたらしい。
しかし、施設にある本ではもの足りず、3歳にして近場の図書館で多くの本を読んだ。
ところが、そこにあった本もわずか2年ですべて読破。
そこで、住吉雪兎に出会ったらしい。
住吉雪兎の家には大きな書斎があって、そこに毎日入り浸っていた。
そんな幼い頃からたくさんの本を読んでたため、彼女は天才少女となった。
だが、自分自身ではあまりピンとこなかったらしく、彼女が思う天才、乱魔に挑戦してきたとのこと。
乱魔に勝てば自分が天才であると思えるから、という理由で──
「ん?俺に挑戦?」
「あ、わかった?」
Sが楽しそうに言ってくる。
「まさか、三崎知由がラビットだなんて言わねぇよな?」
「んー?そのまさかだよ?」
……嘘だろ……
ラビットってあんな子供だったのかよ……
おまけに、それが空海以上のハッカーとしての能力を……?
「信じらんねぇ……」
「そんなの、僕だって同じだよ」
ラビットという存在だけは知っていたS。
今回、初めて正体を知り、驚きを隠せないようだ。
「次、いくぞ」
空海はどこか落ち着いてるようだった。
無表情でなに考えてんのかわかんないだけなのかもしんないけど。