天才怪盗が拾った少女
さっきまでショックだという顔をしていたSは仕事モードに入り、住吉雪兎について話し始める。
なんとも切り替えがうまい。
んで、まとめると、こんな感じ。
住吉雪兎、22歳。
乱魔を追っかけてる住吉正広(すみよしまさひろ)の息子。
親のように刑事にはならず、近場で探偵事務所を設立。
それは、三崎知由のためらしい。
彼女が警察の捜査協力をしているのだが、あの声だから自分で話すのを拒み、住吉雪兎に代わりに話してもらっているらしい。
結果、住吉雪兎は探偵業で有名となっていった。
「……俺らが敵視すべきなのは三崎知由ってことか?」
「そうなるね」
考えてもなかった。
三崎知由が敵だなんて。
いや、予想はしてたんだけど。
まさか、ホントだなんて思わねーし。
「ホントに悪魔、だったんだな……」
「乱魔?」
そう呟くと、Sが不思議そうに俺の顔を覗きこんできた。
「いや、なんでもねぇ」
しかし、どうしたもんか……
これから、今までみたいに動くわけにはいかねーよな。
ってか、俺の目的が達成されてたら、乱魔なんてもうやんなくていいんだよな。
「あ、そっか……」
そうだよ。
俺の目的を達成させればいいんだよ。
もう、『乱魔』もだいぶ有名になってきた。
だったら…………
「空海、S。また情報収集頼めるか?」
「なに?」
Sは仕事がきたと思って楽しそうに答えた。
だが、空海は不服そうな顔をしている。
ま、そうなるよな。
「俺が探してる人物を見つけてくれ」
「えっ…………」
「はぁ…………」