天才怪盗が拾った少女


どうしてこうも俺を裏切るような出来事しか起こらないんだろう。


三崎知由といい、柏木冬馬といい。



「海、滋。ホントにこいつで間違いないのか……?」



違うと言ってほしかった。



「バレた?」って、笑ってほしかった。



でも、俺のそんな思いは全く届かなくって。


海の口から出たのは肯定の言葉だけ。



なんだよ……




俺、騙されっぱなしってことかよ……




「なぁ……こいつ殺したらダメかなぁ……」




自分でもこんな言葉を言おうなんて思ってなかった。



「は?いいわけねーだろ」


「一弥、なに言ってんの!?」



でも、2人は俺以上に驚いている。




「だって!!」



だって……


こいつのせいで俺の家族、壊されたじゃねぇか。


最初は許そうと思ってたよ。


話が聞ければ、理由が知れればそれでいい。


そうとしか思ってなかった。



でも、結局きれいごとで、俺は犯人を知った瞬間……



殺したい。



そうとしか思えなかった。



「一弥、本気でそう思ってんのか?」


「あぁ、本気だ」


「なら、お前は捕まれ」



「は……?」



ここまできて仲間の裏切り?


冗談じゃねぇ。



「なんで俺が!」


「お前、目的が違うだろ」


「そ、それは…………」



確かに違う。



こいつらが俺のバカみたいな犯罪の手助けをしてくれんのも、こいつらも親父と咲が殺された理由が知りたかったから。


だから、手助けをしてくれてた。



それが殺人となると、話は別だ。


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