天才怪盗が拾った少女
そして、滋が開けてくれていたドアから中に入った。
あれ?
なんだ、このピリピリしたムード。
喫茶店らしからねぇ……
「一弥」
奥で腕を組んで椅子に座っている海が一言。
えー……
俺、まだ怒られんの?
とか思いながら海の前に座る。
「なんでしょうか、海様」
なんてふざけながら。
すると、思いっきり睨んできた海。
まあ、そうなるよな。
ちょっかいかけてんだから。
「お前、何を目的に犯罪を始めたかわかってんのか?」
そりゃもちろん。
自分が言い出したことなんだし。
「ならどうしてもっと緊張感を持たない。怪盗乱魔が捕まったら意味ないんだぞ」
だよなぁ……
なんて俺がしんみりするとでも思ってんのか。
「わーってるよ。でも、心配すんな。あと3年もすれば『怪盗乱魔』は『天才』になんだから。お前らのおかげでな」
俺は2人に笑いかけた。
海は深いため息をついたが、滋は照れ気味に笑った。
こうして俺たちの犯罪計画が本格的に始まった───