天才怪盗が拾った少女



「残念だったなぁ、乱魔」



くそ……


また演技だったってわけか………



俺らが照明を落とすってのはそっちも考えてたんだな。



さあ、どうする?


これ以上もう打つ手はねぇぞ……



『逃げろ、乱魔』



マジか。


ここまできて逃亡?


俺のプライドが許さないんですけど。



『捕まりたいか?』



なわけ。



あー、せっかく目の前に宝があんのになぁ………



「どうした、乱魔。もう終わりか?」



うっわ、腹立つ!


なにこのくそガキ!


ろくな大人になんねーぞ!



「今日はここまでにしとく。次はねぇから」


「ふっ……それはこっちのセリフだ。次こそ捕まえてやる」



俺はラビットと睨み合いながらその場を去った。




「お疲れ、乱魔」



車に乗ると空海が言ってくれた。



「空海、予定変更だ」



俺は運転をしている空海に言う。



「は?どう変えんの?」


「もう柏木のモノは盗まない。ラビットに柏木のことを気付かせる」


「どうやって?」


「それを今から考えるんだろ」


「はいはい」



空海はやれやれというように返事した。


< 34 / 61 >

この作品をシェア

pagetop