天才怪盗が拾った少女
「……もしもし」
『どうだ、乱魔。捕まる気になったか?』
しわがれた声。
人をバカにするような口調。
間違いない。
相手は……
「ラビット……!」
『おぉ、声だけでわかったか。それで?捕まるか?』
「どうしてそんなことを言ってくる」
『どうして?お前の目的は達成されたではないか。もう乱魔でいる必要はないだろう?』
バレてたのか……?
だが、俺はまだ捕まるわけにはいかない。
「頼む、まだ見逃してくれ」
『ほう……。なぜだ』
「知りたいんだ。どうして親父と妹が殺されたのか」
『ならば、成瀬一弥として明日、警察に来い。共に真相を探るというのはどうだ?』
ラビットと一緒に捜査……?
冗談じゃない。
だが、俺に残された選択肢はそれしかなかい。
「……わかった」
俺の返事を合図にするかのように、そう言うと電話がきれた。
「一弥?」
滋が心配そうに俺の名を呼んだ。
俺はそれなりの決意をして言った。
「俺らは今日で解散だ」
「え……?」
「なぜだ、理由を言え」
2人とも俺の発言に動揺している。
「今の電話はラビットからだった。あいつにはわかってたんだ。俺らの目的。だから、柏木が捕まった。それで、捕まる気になったか?って言ってきたんだ。でも、真相がわからないまま捕まるなんて嫌だ。だから、明日、ラビットと一緒に捜査することになった」
「だったら俺らも……!」
海の言葉に滋も何度も首を縦に振る。