天才怪盗が拾った少女
「ダメだ。お前らには感謝してる。真相が知りたいってのもわかってる。だけど、お前らには先に罪を償ってほしい。俺のわがままに巻き込んで悪かったが、できるなら、最後まで付き合ってくれ」
それに、こいつらが俺と一緒に行く理由がない。
俺はとにかく頭を下げた。
「ったく……」
「最後の最後まで乱魔だね」
2人はあきれたように言った。
「お前ら……ありがとな……!」
俺は感極まって涙を流した。
「あれぇ?一弥、泣いてるのぉ?」
滋がバカにするように言ってきた。
「そう言う滋だって泣いてんじゃねぇか」
「なにをー!海だって!」
これが俺が乱魔として笑った最後の日だった。
「じゃあな」
「おう」
翌朝、海はそう言って警察に向かった。
「一弥ぁ……」
滋はというと、俺に泣きついてきた。
「絶対に教えてね、咲ちゃんたちのこと」
「あぁ、もちろんだ」
「うぅ……」
正直、そこまで泣くか?って思うくらい滋は泣いていた。
「またね、一弥」
ようやく落ち着き、滋も警察に行った。
「よし、俺も行くか……」
俺は電気を消し、部屋を後にした。
もう戻って来ることはないんだろうけど。