天才怪盗が拾った少女



とか言ってみる。



うん、わかってる。


変だったよな。


バカバカしいよな。


だからさ……



三崎と海、2人そろって俺を睨まないでくれねぇかなぁ!



「そんなことよりさ!」



そんなことで済ませんなよ、滋!



「早く喫茶店に行こ!あの懐かしの!」



……懐かしの?



もしかして、三崎に出会う前にいた、あの喫茶店?


へぇ、まだ残ってたんだ、あそこ。



「そうですね、お話もありますし」



……雪兎の敬語、いつ抜けんのかな。


ちょっと堅苦しいんだけど。



ってか、話って?


親父のこととか?



「一弥、置いてくぞ」



ゆっくり考えごとくらいさせろよな。


この……



「……悪魔が」


「なんか言ったか?」



ははは。


あれぇ?


聞こえないように言ったはずなのになぁ?



「一弥ぁ?」



すげぇ勢いで睨んでくる海。



……ここは逃げるが勝ち。



俺は喫茶店の方向に走っていく。



「待て、こら!」



うおー、なんか懐かしいー。



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