樫の木の恋(上)
なな
秀吉殿は此度の戦で大きな戦功を上げ、小谷城とその近辺の近江国を任された。
すぐに小谷城へと引っ越しを命じられ、近江国の発展をするようにとの申し付けだった。
国主へと昇進したのにも関わらず秀吉殿は不満気だった。
「小谷城の周りはあまり良くない。発展出来る気がせん。」
確かに小谷城の周りは山が多く水回りも悪い。確かにあまり発展には向かない土地だった。
そこで秀吉殿は今浜の地に城をたてることを決めたのだった。あそこなら町も近く、水回りも良い。
町の者や兵士、大工をかき集め早急に作るよう命令したのだった。
今浜城が出来るまで小谷城に入って、秀吉殿と共に仕事に追われていた。
配下のほとんどが今浜城に掛かりきりな分、秀吉殿と自分の仕事量は膨大で、寝る間も惜しんで働いていた。
当然二人でゆっくりする時間などない。
三成の事も結局聞けずじまいだった。