樫の木の恋(上)
大きな評定を行うとのことで、秀吉殿は家臣を何人か連れて岐阜城に来ていた。
三成と清正、それと自分がついていくことになった。
三成は大殿に会ったことがないとの事で、顔見せの意味も込めて前々から付いていく事が決まっていた。
何故か自分は大殿が連れてくるようにとのお達しを受けていた。
「大殿!お久しゅうございます。」
「おお、秀吉!よく来たな。半兵衛も。仲良くやっておるか?」
仲良くなどやってなどいなかったが、秀吉殿は冷静に答える。
「ええ、まぁそれなりに。」
「そうか。まぁ良い。そやつが三成か。」
「お初にお目にかかります。石田三成と申します。」
「秀吉が随分と可愛がっているらしいな。なかなか切れ者だと評判なようじゃ。」
「勿体無い御言葉。それがしなどまだまだです。」
「まぁ頑張れよ。清正もよく来た。皆ゆっくりしていけ。」
大殿に挨拶を済ませ、明日が評定のため今日は城に泊まることになっていた。