樫の木の恋(上)
言ってみたはいいが、やはりここに来て怖くなる。これを続けることによって秀吉殿の負担になるのではないか、怖がられてしまうのではないか。嫌なものを思い出させたくなどなかった。
だから弱気になっていた。
「秀吉殿が嫌でなければ…」
「そんなに気を使わないでくれ…。私はいいとさっきから言っている…。」
「でも…」
そう言うと秀吉殿がそれがしを自分の横に倒し、いきなり上に跨がってきた。一瞬のことでついていけず、状況がなかなか読み込めない。
「私からすれば…半兵衛が気を病む事はないよな…?」
「秀吉殿?何をされ」
途中で秀吉殿に口付けをされ遮られる。
そして秀吉殿は少し震えながら、自らそれがしのものを受け入れた。
「ひ、秀吉殿!?」
「うぅ…やっぱ駄目じゃなぁ…。んっ…」
「ご、ご無理はいけませぬっ!」
秀吉殿は入れたままぴたりとそれがしの上に乗っている。駄目と言うのは、やはりこの行為自体が駄目なのだろうか。
そんなことを考えながらも、気持ちよくて頭が空回りする。
「無理…じゃなくて…だな。はぁ…。その…嬉しくて…。」
「へ…?」
たどたどしく言葉を繋げる秀吉殿。それは少しでも動かしたら壊れてしまうんじゃないかと思ってしまう程。
恐る恐るゆっくりと秀吉殿を抱き締める。
「私からしたんじゃ、もう…半兵衛が気を使うことは…無かろう…?」
秀吉殿は、それがしが気を使うことを気に病んでいたのか。大殿の言う通りだな。
気ばかり使って、秀吉殿がどういう風に考えているかなんて分かりもしなかった。