樫の木の恋(上)
ろく
朝起きると自分の腕の中で秀吉殿がすやすやと静かに寝ていた。昨日は結局あのまま抱き合って寝てしまっていたのだった。
頭を撫で軽く口付けをしていると、秀吉殿が起きてしまった。
「ん……半兵衛…?」
眠そうにしながらもふわっと笑う秀吉殿にゆっくりと口付けをする。
「半兵衛は優しいのじゃな。」
「いきなりどうしたのです?」
「いや……昨夜何も聞かなかったから。」
秀吉殿はさっと体を起こし、いきなりそれがしの上へと乗ってきた。初めて会った時のような状況に少し懐かしさを覚える。
秀吉殿は上から覆い被さるように腕を頭の両側に置き、少しかかる秀吉殿の髪がくすぐったい。
「半兵衛…好きじゃ。」
そう真っ直ぐと目を見て言われたのが初めてで、それがあまりにも綺麗で思わず頬が赤くなるのが分かる。
「ふふっ半兵衛…顔が赤い。」
そう言ってからすっとそれがしの頬を撫でる。
昨夜とはうってかわって少し男の時の秀吉殿が入っているのか、凛々しく余裕綽々といった感じで悔しくもあるが嫌ではない。