未知の世界4
「いいのよ、走らなくて。」
佐藤って呼ばれてすぐに反応できない自分に驚いて、思わず走っていた。
看護師さんに声をかけられたけど、既に息が上がってた。
診察室に入ると、結婚式以来の進藤先生がパソコンに向かっていた。
「健診の日に走ったら、いい結果は出ないぞ。
まぁ、式に旅行にと疲れもあるから、どうしなくてもいい結果は出ないと思うけどね。」
「ごめんなさい・・・・・・。」
素直に謝った。
「どうだった?旅行は?
あ、お土産ありがとうね。佐藤先生からもらったよ。」
「いえ、こちらこそ、結婚式ではありがとうございました!!!」
丸椅子に座りながらお礼を言った。
「いやいや、貴重な体験をさせてもらったよ。」
嬉しそうな顔の進藤先生。
「それじゃ、診察始めるね。」
と持っていた聴診器を耳に当てたので、私は着ていた服を上げた。
私の胸に当てた瞬間、真剣な眼差しの進藤先生。
長い聴診のあとは、瞼を見たり、首のリンパに手を当てたり。
「少し、貧血かな。
あとで採血をしておこう。」
えっ!?
「嫌だった?」
「え、いや・・・・・・。」
注射は嫌いではないけど、好きなわけもない。
「じゃあ、循環器科と呼吸器科の検査室で検査のあと、またここに来てね。」
「はい。」
と返事をして、診察室を出た。