未知の世界4
「今日から君達の担当の早川です。
体調が悪かったり、分からないことがあったら何でも聞いてね。」
早川先生が挨拶する。
「佐藤かなです。よろしくね。」
今度は私。
初めて、最初から担当する患者さん。
4人とも怪我だから、長くはいないとは思うけど。
このうち一人は少し重い怪我・・・・・・。
皆明るいけど、重い怪我を患ってる子はきっと胸のうちは複雑なはず。
その子は高校3年生の男の子。
『羽山悠斗くん』
「先生ー、どのくらいで退院できますかぁ?」
と1年生の女の子が早川先生に聞く。
さすが今時の高校・・・・・・、初めての相手なのに馴れ馴れしい。
「君は傷口の化膿が治れば退院かな。
特に今のところ病気もなさそうだし。」
さらっと答える早川先生。
慣れた対応。私もこうならなきゃ。
今後の一通りの予定を一人ずつ話して、私たちは部屋を後にした。
部屋を出るとき、チラッと良子ちゃんを見た。
廊下側にいる良子ちゃんは、4人に背を向けるように横になっている。
挨拶をする気はなさそうだった。