未知の世界4
回診の時間になるの早川先生と悠斗くんの病室へ。
「おはよう。」
と言うなり、早川先生は忘れ物をしたといって医局に戻った。
「悠斗くん、おはよう。」
私を見上げるとすぐ、
「先生・・・・・・ごめんなさい。」
泣きそうな顔の悠斗くん。
「大丈夫だよ。体は何もなくて良かったよ。」
ベッド沿いの椅子に座り、悠斗くんに話す。
「退院、なかなかできなくて焦ってた?」
頷く悠斗くん。
「一緒に入院した子たちは皆、退院してるし。
大会にはもう出られそうにないし。」
「そうだよね。辛いよね。」
「だけど、あんなことした自分が今では阿保らしく感じてる。
本当に先生、ごめんなさい。」
「いいの。私はもう平気だから。」
「本当?先生、痩せたよね?」
「えっ!?」
すごい観察力・・・・・・。そんなに私、痩せた?
「頬がこけてる。」
そういわれ頬をさする。
確かに・・・・・・。
「さすが悠斗くん!
悠斗くんからもちゃんと食べるように言ってね。」
ん!?幸治さんさんっ!!!
振り向けば幸治さん・・・・・・。
その横に早川先生がニヤニヤしている。
「今日のお昼、ちゃんと食べるように早川先生に見ててもらうからな。」
「はい・・・・・・。」
私が幸治さんの前でしゅんっとなってると、
「ハハハ!佐藤先生が佐藤先生に怒られてるっ!!!
ん?佐藤先生・・・・・・。
って夫婦?」
と言われ、幸治さん顔を見た。
夫婦であることは皆知ってるつもりで働いてたけど。
そういえば患者さんは知らないんだ。
こういうときはどうしたらいいのかな?
「よく分かったな。俺達、結婚してる。」
私が悩んでいるのと幸治さんが助けてくれた。
こうやって言えばいいんだ。
「そっかぁ・・・・・・。残念だなぁ。」
口を尖らせる悠斗くん。
「歳もそんなに離れてないし、可愛いから狙ってたのに・・・・・・。」
ぇえっ!!!高校生にっ!?
「あー、止めとけ止めとけ。
肝心なことは言わないし、隠すし、大変なだけだぞ。」
幸治さんが手をヒラヒラさせながら言う。
「ひどぃ・・・・・・。」
小さい声で呟いたけど、確かにそうだから、それ以上反論できない・・・・・・。
「佐藤先生が相手なら、絶対に敵わないなぁ。」
もう・・・・・・。皆、酷いなぁ。
そんなこんなで悠斗くんの件も一段落しそう。