未知の世界4
幸治さんはそれからカーテンを明けて、少し待ってるように言うと、出て行った。
怒っていることはよく分かる。
はぁ・・・・・・。
今は何時なんだろう。
そんなことを考えていると、主治医である進藤先生が入ってきた。
「かなちゃん。」
そういうと、さっきまで幸治さんの座っていた椅子に、進藤先生が座る。
「主治医として、さっき幸治さんが言ったとおり、これ以上研修はしてほしくない。
でも、かなちゃんにとってはこの期間はとても貴重なものだってことも、同じ道を歩んできた医者としてよく分かる。
必ず毎日吸入をかかさずやってほししい。
夜だけじゃなくて、朝も。
それからこの薬と自宅での吸入セットも。
ただ、『今まで』といっても、一人でやってくれたことがなかったけど(笑)
吸入を一人でさせることを許可してたけど、今後は誰かにいてもらうこと。
朝、時間内なら、検査室に係の人がいるから。
それ以外は幸治くんや早川先生にそばにいてもらって。僕からも頼んでおくから。」
必ず毎日やるように、念を押された。
「それから、次の健診は早めにすることと、胃の方も調べるから。」
胃?
「胃ですか?」
「あぁ、嘔吐を繰り返してない?
それに、さっきの吸入の時、少ない量だったけど、戻したものは昼ご飯でしょ?
消化機能が心配だから。」
そういうことか。
はぁ、どうにかこの研修に体が持ってほしい。