未知の世界4
「かなちゃん、来週が健診だよね?」
幸治さんの少し後ろに進藤先生が立っている。
「は、はい・・・・・・。」
「こんなに残ってるのはどうしてかな?」
怒りたい気持ちを必死に抑えながら、尋ねられた。
「あ、あの・・・・・・、その・・・・・・。
ご、ご飯を食べる時間がなかった時とか、その、
食欲のないときとか、に、
えっと・・・・・・
その、飲めなかった薬・・・・・・です。」
「で、この薬をどうしようと思ってたんだ?」
厳しい突っ込みが、この緊張感漂う空気をさらに緊張させた。
「え、えと・・・・・・。」
「ぅん?」
元ヤンだったのかと思うくらいの顔と言葉で、さらに威圧される。
「処分を・・・・・・。」
「えっ!?捨てようとしたの!?」
と、進藤先生が驚く。
私は小さく頷いた。
「っバカかっ!!!」
へぇっ!?
「飲めなかった薬は、健診の時に持っていくんだよ!
どれくらい残したのかどうか、主治医に知ってもらうために!
それに、次回薬を余分に出さなくて済むだろ?」
・・・・・・・・・・・・。
そうだったんだ。
「はぁ・・・・・・、心臓の悪い患者で、こんなに薬を飲まない人間は、この世でほとんどいないぞ・・・・・・。」
進藤先生も幸治さんの言葉に頷く。
さらに追い撃ちをかけるように、
「今、自分がどんな体だって分かってるのか?
無理矢理研修を続けさせてやってるんだぞ?
いつ倒れてもおかしくないんだぞ!」
幸治さんの声はどんどん上がっていった。
分かってる。自分がちゃんと飲まなかったこと、体調管理をしてなかったことも。
だけど、こんな言い方しなくても・・・・・・。
つらすぎて、言葉も涙も出ない・・・・・・。
ただ腕を掴まれた状態で、俯いているだけの私。