未知の世界4
「おはようございます。」
次々に出勤してくる先生方に挨拶をしてコーヒーやお茶を出す。
そこに幸治さんと石川先生が出勤された。
「あれ?佐藤、何で出勤してんだ?」
挨拶する前に、石川先生が口を開いた。
え?どういうこと?
「かな、ちょっといいか?」
幸治さんが慌てた様子で私を呼ぶ。
そこに、医局長がやってきた。
「おはようございまーす。」
医局長に向かって、口々に皆が挨拶する。
「佐藤・・・・・・。」
そういわれ、幸治さんに呼ばれてたけど、医局長の席に行く。
「何も聞いてないか?」
え?医局長まで?
「はい・・・・・・。」
「そうか。
佐藤の残りの研修は、しばらく延期だ。」
えっ!?
「あの・・・・・・。
どういうことですか?」
訳が分からない。
なぜ急に!?
「昨日の健診結果を聞いてないみたいだな。」
医局長がチラッと私の後ろの方に目をやった。
きっと幸治さんだろう。
医局長の口から出てきた「健診結果」という言葉を聞いて、すぐに理解した。
理解したものの、そのあと言葉も出なければ、医局長前から動けないでいた。
「しばらく体を休めろ。それからだって遅くない。
なっ?」
「・・・・・・。」
ただ呆然と立ちすくむ私は、後ろから手を引かれ、自分の席についた。
手を引いたのは幸治さんだった。