未知の世界4
今、カーテンのされた休憩室のソファに座っている。
目の前には石川先生と進藤先生。
私の座るソファの傍に立っているのは、幸治さんと早川先生。
何でこんなに大勢・・・・・・。
「昨日の結果、昨夜のうちに伝えなければいけなかったね。
こんな形で知ることになってしまってごめんね。」
と、進藤先生が口を開いた。
私の目の前には、心電図とここ最近の喘息のピークフローを表した図。
研修医の私でも分かる。
喘息の悪化と心電図の波形が比例してる。
どちらも数値は最悪となっていた。
「このままで行くと、いつか取り返しのつかないことになる。」
深刻に話す進藤先生。
この結果を見れば、私だって分かるよ。
だけど・・・・・・。聞きたくない。
「僕は主治医として、かなちゃんがなんとしてでも研修を続けられるようにしたかった。
けど、ここまでくると、もう続けさせるわけにはいかない。」
進藤先生がそういうと、
「俺も、指導員としてそして、医者としてこれ以上仕事をさせるわけにはいかない。」
石川先生がキッパリと私の顔を見て言う。
私は何も言葉が出なかった。
「かな・・・・・・。ここまでよく頑張ったよ。
だけど、これ以上は続けさせる訳にはいかない。」
幸治さんがいつもより優しく私に話す。
皆の言葉が優しく言われてるんだろうけど、私にはそうは聞こえない。
『お前は必要ない。これ以上一緒に仕事をして、倒れられたら困る。体力のない医者は必要ない。』
そう言われてるように解釈してしまう。