未知の世界4
「あ、いたいた!
か〜なちゃん!」
ん?
扉に目を向けると、
「えっ?良子ちゃん?」
そう。小児科で長く入院している森良子ちゃんが私の部屋を訪ねて来た。
「入院してるって、聞いて。」
部屋に普通に入ってきて、私のベッド沿の椅子に座る。
「誰に?」
「旦那様っ。ホント、佐藤先生はかなちゃんが大好きなんだねぇ。」
冷やかしの目で見るてくる。
「どうして?」
「私が最近かなちゃんがいないけど?って佐藤先生に聞いたら、医者の表情から少し緩んだ顔で、この病院に入院してるって教えてくれた。
まぁ、この間見た時に、相当痩せこけてたから、納得はいくんだけどぉ。
また同じように入院だねっ!」
と嬉しそうな顔の良子ちゃん。
「まさか訪ねてくるとは思わなかった。
でも、嬉しいよ。ありがとうっ。」
「それでさ、私ね、今度退院することになったんだ!」
「えっ!?やったね!
おめでとう‼︎」
まるで自分のことのように嬉しい!
幸治さんの患者さんだけど、私は良子ちゃんと友達たど思っている。
だから、尚更、嬉しい。
それに、あんなに治療に向き合わなかった子なのに、退院できるってことは、何かあったのかな。
「私ね、今年卒業したら、全寮制の看護学校を受験しようと思ってるの。」
えっ!?その気になってくれたの?
「親に話したら、家を出るって分かったからか、学校の費用を出してくれるって。奨学金使おうと思ってたから、まぁそれはそれでありがたいけど。」
「そうなんだね!じゃあいつか一緒に働けるかも知れないんだね!」
気づくと涙が出ていた。
「何、泣いてんだよ〜。」
「良子ちゃんこそ〜!」
二人で涙目で笑い合った。
誰も受け付けようとしなかった良子ちゃんと、こんな風に笑い合える日が来るなんて、思ってもなかった。
それから他愛もないことを話して、良子ちゃんは退院前にまた来ると言い、部屋を後にした。
本当に良子ちゃんのことが、自分のことのように嬉しかった。
その夜は、良子ちゃんのことばかり考えて寝た。