未知の世界4
。。。
暖かな光が、窓ガラスを抜けて、机の上に並べられた本を照らしている。
遠くで子供の泣き声や、笑い声が聞こえる。
ほのかに匂うコーヒーの香り。
ここに戻って来れた。
という喜びの気持ち。
今を生きているんだ。
という感謝の気持ちで、白衣の上から胸をさする。
ありがとう、そしてこれから一緒に生きていこう
そう、心の中に話しかける。
…トクン
〜うん〜
そう答えるかのように、優しく心臓が鳴る。
「佐藤、行くぞっ!」
反対側に座る石川先生が、立ち上がりながら私に声をかける。
「はい、今行きます!」
腰をあげると、
「今日からだな。頑張れよっ!」
と、医局中の先生が私を見つめていた。
「ありがとうございます!頑張ります!」
と、大きな声で返すと、
「頑張り過ぎるなよっ。」
医局の出入口にいた幸治さんに優しく声をかけられる。
研修医として戻ってこられた。
再び、白衣を来て、この医局に戻ってこられた。
また今日から、新たな一歩を踏み出した。