未知の世界4
~結婚式当日~
『おめでとー!!!!!!』
大きな扉を開けると、そこには幸治さんのタキシード姿があった。
私の父親に代わって、なぜか隣を歩くのは進藤先生。
朝からバタバタしながら式場に向かって、ドレスアップしたら、綺麗に化粧をしてもらい。
そのあと親族紹介、といっても私には親族がいないから、幸治さんの親族と会うだけ。
さらにそういっても、翔くんの家族は知ってるし、初めてなのは遠い親戚の方だけだった。
そしてリハーサルを終えて・・・・・・。
数時間かけてようやく式の始まり。
「大丈夫?」
小さな声でバージンロードを一緒に歩く進藤先生から声がかかる。
「はい、何とか。」
私も小さな声でこたえる。
この拍手の中で聞こえたか分からないけど。
こんな時まで主治医でいてくれる進藤先生、おそるべし・・・・・・。
後数歩。
数歩で、幸治さんのもとへ。
高校2年の時に、病院に行くと突然入院となり、それまでいた施設がなくなり、自暴自棄になっている私を、幸治さんは厳しく接してくれた。
そして生きることを教えてくれた。
私の過去も一つ隠さず話してくれた。
生活のことでも大学のことでも、全て嫌な顔せず面倒みてくれた。
そして私は今日、ここで幸治さんと夫婦になる。
優しく手を握られ、一歩出る。
幸治さんの腕に手を添えて、一歩ずつゆっくりと前に出る。
私たちはこれから夫婦。
どんなことがあってもずっと一緒にいようと思えた。
一生。
それから皆の前で指輪の交換、宣誓、誓いのキスをした。
極度の緊張で、頭はボーっとしていたけど。
たくさんの人から「おめでとう」という言葉を浴びた。
その一つ一つに「ありがとう」と返したくなるほど、幸せだった。