僕たちの交換日記
「……お前ら、何者だ?」
僕はそうたずねると、片瀬は答えた。
「人間だ」
いや、そのまんますぎないだろうか……。
でも世界が滅亡したこんな時代だからこそ、
人間という種族はもう珍しいのかもしれない。
むしろ、宇宙人のほうが多いのかもしれない。
「……ここで何をしている?」
ここはどこかの家のようだ。
なぜまだ建物が存在するのか不思議だった。
「交換日記をしてるんだよ♪」
桜子がそう答えた。この子はいつもニコニコしている。
そんなに今が楽しいのだろうか?何だか羨ましく思える。
いや、それにしても交換日記って、バカにしてるのか?
「なんで交換日記、なんて?」
その問いに答えたのは、坂本という男。
坂本はどこかこのグループの隠れたまとめ役のように思える。
年齢も僕より年上に感じるからだろうか。
「人類の記録だ」
「でも交換日記にする必要なんて」
「…分担作業をすることで、より確証のもてる記録を作りたいのだ」
「……なるほど。でもよく紙と鉛筆があったな?」
「そこにあったからだ」
「は?」
「私達も、君と同じように気付いたらここに連れてこられていたんだよ」
桜子がさきほどと同じ口調ではなく、ただ淡々とそういった。
一体、どういうことだ…?