隣の犯罪者?!
皇夜からだよね
それにしても皇夜おそいかも
ケーキを食べ始めると言われた
「ここには誰もあがってこないよ」
「えっ?」
「二階はVIP専用だから」
しばらくして皇夜がフラフラしながら戻ってきた
「皇夜?」
スツールに腰かけた彼はあきらかに具合が悪そうですぐに突っ伏してしまった
額に手を当てるとかなり熱い
息もかなり荒い
もしかして無理させてた?
「誕生日おめでと美咲」
「ありがとう皇夜」
私は休憩室に皇夜をなんとか運んで冷たいタオルを額にのせた
「まったくつかえな~い
はいこれ、給料から天引きだからね」
休憩室のドアをノックもなしに開けて入ってきたオカマは風邪薬の箱をポイッと皇夜に向けて投げ捨てた
まるで物扱いだ
「ちょっと」
「誰アンタ
ちょっと皇夜おきなさい、あんたどういうつもりよVIP専用の場所に一般人を入れるなんて
ちょっと聞いてるの
如月皇夜」
私は居ても立ってもいられなくなった
「具合が悪いんですやめてください」
「ただの風邪でしょ
なっさけない
あんたは家畜以下なの私の言うとおりにお金を招いてくれればいいの
じゃなきゃあんたを拾った意味がない」
「出て行ってください」
「アンタが出て行くのよ今すぐに
皇夜ちゃん立てるでしょ?」
皇夜は壁に手を突いてなんとか立ちあがる
「皇夜」
「そうそうお利口さんね」
「美咲···先に帰れ」
「帰らないよ私」
私はけっきょくVIP専用席から皇夜を眺めていた
何人もの人と踊る皇夜
体はフラフラなはずなのに
「美咲ちゃんだっけ?
もう帰ったら?
これからもっと過激になるかもしれない
今日の如月はおかしいよ普段ならあそこまでしない
うちは健全な店だし表向きはね」
私は皇夜から目を離さずにいた
皇夜はお客様から見せびらかされたお金をまるで犬のようにくわえていた
「どうしたの?如月をみつめちゃって
しかも怖い顔
あれ今日の如月ずいぶんと狂ってるね」
振り返れば私の後ろに男の人がいた
「えっと」
「Sでいいよ
如月はマスターの犬だからね
まっ噂じゃ一線越えた仲らしい」
私は奢ってもらったシェリー酒を飲む
「ウソ」
「まあマスターに逆らったらなにされるかわかんないからな」
けっきょく私はお店が終わるまでいてステージに駆け寄った
皇夜はその場で眠っていた
体中傷だらけ
私は足音に気づいてはっとする
振り返ればまたオカマ
カツカツ歩いてきて皇夜を転がした
「もういいでしょ」
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