隣の犯罪者?!
「あーあかわいくねぇ
いってらっしゃい」
意外に素直なとこあるんだよね皇夜って
私はバスで自宅に戻ると夏物のワンピースに着替えた
着替えを済ませたところで着信がある
「骸木です、今どこです?
なんなら迎えに行きますよ」
私は骸木さんに場所を伝えマンションの前で待っていた
しばらくして黒の車が滑り込んできた
ウィンドウをさげて骸木さんは爽やかに挨拶をする
「おはようございます
かわいいですね水色のワンピース
それに白のサンダルも」
「ありがとうございます」
「申し訳ないんですが左ハンドルなんで車に気をつけて車道側から乗ってください」
骸木さんの車はカイエンとかいう車種だった
私は車道側から乗り込んだ
「いい車ですね」
「そうですか?」
「はい」
皇夜のバイクも好きだけど車も悪くないかな
「映画館なんですが僕の好きな場所でかまいませんか?」
「はい」
車から見える景色はやっぱりいつもと違う
「ああ僕のことは葵と呼んでくださいね

「葵」
「ええそれでかまいません
映画の前に駅前に新しくできたカフェにでも行きましょうか」
皇夜と違って女の子の扱いがうまいしなによりちゃんとポイントをおさえている
駅前のパーキングに車を停め少し歩く目的のカフェはすごく混んでいて店外にも行列ができていた
「皇夜とは恋人なんですか?」
列に並んでいると葵さんが訊いてきた
「別にそういうわけじゃありません」
「そうなんだ」
長い行列は少しづつ進んでいく
30分してやっと店内に入れた
店内は開放的で甘い匂いが漂っていた
やっと席について葵さんはコーヒーを私は紅茶とパンケーキのセットを頼んだ
運ばれてきたパンケーキにはフルーツがふんだんに使われていて生クリームでデコレートされていた
「おいしそう」
「あなたのその顔

「えっ?」
葵さんは私のフォークからパンケーキを食べる
「おいしそうでつい」
急に皇夜に会いたくなる
葵さんの話しを聞いてるはずなのに私は上の空だった
それどころかため息までついていたらしい
「美咲?」
急に名前を呼ばれてはっとなる
「はい」
「顔色悪いけど大丈夫?
映画はまたの機会にしましょう」
「えっでも」
「やっぱり僕じゃ役不足ですね皇夜を呼びます」
「あっいいんです」
葵さんは立ち上がるとそれではと言って去ってしまった
しばらく紅茶とパンケーキを堪能しながら外を眺め店内に視線を戻すと背の高い男性が目についた
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