隣の犯罪者?!
皇夜に常識は通用しないのかも
キスだけじゃ満足できない
もっともっと皇夜が欲しい
「エロっおまえ内心そんなこと考えてたの?」
「えっ」
「俺にめちゃくちゃにされたいと
朝のはさながらお遊びだな」
「いやなにも
皇夜とりあえずここから出···」
言いかけた言葉は口で塞がれた
「もっと俺に頂戴おまえのすべて」
「皇夜···」
とろんとした私の目を皇夜は冷ややかに見る
「バーカほら水族館いくんだろ」
「皇夜、私なら壊れてもいいよだから」
「おまえにはキスで充分なんだよ」
ぜんぜん足りないよ皇夜
私は立ち上がった皇夜を後ろから抱きしめた
「皇夜が欲しい」
「からかうなよ?
冗談だ冗談、おまえがほしいなんて」
くくっと低く笑って皇夜は行ってしまう
私も後を追ってお店を出た
皇夜のバイクに乗って水族館に向かう
水族館はやっぱり混んでいて家族連れで賑わっていた
私は皇夜の手を握る
皇夜はぎこちなく握りなおしてくれる
通りがかりの女の子が言う
「彼氏かな?すっごくかっこよくない?」
あきらかに皇夜のことだ
私は少し鼻が高い
でも彼氏じゃないのが残念
皇夜はどう思ってるんだろう
水中トンネルの真上を巨大なエイが遊泳していく
「すごーい」
年甲斐もなく声をあげた
「美咲」
初めてに近い名前を呼ばれたの
皇夜はなにかを考えてから言う
「なに?」
「なんでもない」
あきらかに何かを決めたのにはぐらかしている
皇夜はまた手を絡めなおしてから歩きだす
「変な皇夜」
呟きもそぞろに歩きだすと携帯が鳴った
「松風美咲さんですね?
如月皇夜について情報があるんですよ」
皇夜とは一度、電話のために離れていた
「情報?あなた誰ですか?」
「別にただの情報屋ですよ」
「今はいけません」
「如月皇夜は悪魔ですよ」
悪魔?ずいぶん抽象的な言い方
「そんなはずないです」
「写真があるんですよ
いらないなら警察にばらまきます」
皇夜とのせっかくのデートが台無しになっちゃう
どうしようか悩んだ挙げ句の果てに通話をきった
「皇夜」
「ん?」
「ごめんちょっと体調わるくなっちゃったみたい」
「マンションまで送る」
「駅まででいいよ」
私の反応に多少、驚いた表情をしたがちゃんと駅まで送ってくれた
皇夜がいなくなってすぐに黒のワンボックスがロータリーに滑り込んできた
「こんにちは松風さん」
私が車に乗ると横からチラチラ視線を感じる
「なんですか」
「いえ」
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