溺れる恋は藁をも掴む

　「でも、今日は食えよ！
今までの努力は俺が労ってやるから」

　「有難う。
嬉しい！
痩せて良かった」

　「三浦よしよし！！」

　アキは私の頭をポンポンする。

　ダメー！！
優しくすんな！！
また勘違いしちゃう‥…

　「アキ‥‥‥
何だかさ、アキも変ったよね？」

　「大人になったべ？
今の職場さ、女心分からないとやってけないの！」

　「なにやってんの？」

　「生命保険会社」

　「あら、そら大変だわぁ……」


　なんだよー
保険の勧誘かい！？
あーぁ……期待して損した‥‥


　「安心しろ、三浦。
勧誘しないから。
もう、今月のノルマは達成してるし！」

　アキは悟ったかのように、早めに否定した。

　「私、今の会社に入って、しつこく勧誘されて入ってるから、絶対無理だよ！」

　一応念押ししとこ！

　「大丈夫だ。
今月は裕也が入ってくれたよん。
愛する実咲の為にね！
家庭を持つとはそういう事だって、幹事引き受ける代わりにね！」

　少し毒のある笑顔を見せるアキ。

　「商売上手だね」

　「まぁね…
でも、裕也には必要さ！
　男は家庭持ったら、いざって時を考えてやらないと女が可哀想だ！

　無理矢理勧誘なんてしないさ……
必要な人にだけしか勧めない。

　三浦はさ、友達にそういう仕事してる人居るよって、必要な人が居た時にでも紹介してよ！
ダチを失ってまで仕事する気ないから、警戒すんなって！
　勧誘されると思った？」

「思った」

　一気にしらけるとこだったよ‥‥