溺れる恋は藁をも掴む
 「へぇー
アキでも振られちゃうんだ?」

 「振られるさ!」

 「高校の時のアキは、いつも振る側だったじゃん」

 「あぁ、そうだったかもな……
でも、振られるって結構堪えるな!
一時期、何にもする気なくなったよ」


 「まぁね…
別れは辛いよ。
忘れるまで時間が掛かる」

 「だね。
三浦はさ、見返してやりたいくらいの男だったんだろ?」

 「そうよ!
悔しかったからね……
自分に自信なくしたよ。
私はダメな女なんだって……」

 「そんな事ないだろ?」

 「そんな風には思いたくないけど、自分じゃ分からないのよ。
 ねぇ、アキはどんな女性を好きになったの?」

 「うーん。

 理屈じゃなく、気になりだして………
ずっと頭のどっかで、その人の事ばっか考えたりしてさぁ……

 いつの間にか心持ってかれた。

 人を好きになるって、その人を好きになるって事でさ、好みとかそういう類のものが多少違っても、それでいいって思ったりするもんじゃね?」


 「それにもルックスは含まれてんじゃん?
いい方がチャンスは沢山あるわ」

 「確かにそうだろうけど、好みもあんだろ?
美人だけがいいって奴ばっかじゃないし、モデル体形ばかりが好まれるわけでもない」

 「それでも、圧倒的にルックスのいい子が、
特する世の中よ」

 「まぁまぁ、三浦。
今ならさ、三浦もそのルックスのいい女の部類でしょ?
 なら、そんなに気にする事ないじゃん!
それともまだコンプレックスあるの?」

 「あるわよ‥‥まだ‥‥」

 あーぁ……思い出したくもない、私を苦しめる記憶が蘇ってきた……
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