溺れる恋は藁をも掴む
 「アキだって、今の私だから、食事に誘ったんでしょ?」

 「今だから誘った。
三浦となら気軽に食事が出来て、癒されるかな……って。

 三浦もフリーだって言うし、誘って問題ないならって。

 イヤなら断わってくれても良かっし、ビンゴの景品持ってこいってのは冗談だからな!

 別に、三浦が大変身を遂げたからって、誘ったわけじゃねーぞ!」

 アキはそう言って、照れ隠しのように笑った。

 「分かってるよ……
持ってきてないし!」

 「それ目的なら、三浦じゃない子誘うよ。
そういう事をわりきれる子」

 「あら、そういう子居るの?」

 「居るよ。
人肌が恋しい時に一緒に楽しんでくれる子」

 「そうなんだ‥‥」

 「そういう人も俺には必要。
がっかりした?」

 「うぅぅん。
 意外だな……って、驚いてはいるけど、がっかりはしない。
 私もそんな気持ちになる時あるから。
そういう人は居ないけどね!」
 
 「へぇー
三浦でもそう思うんだ?
 それも意外!」

 「思う時はあるよ。
 勿論、誰でもいいわけじゃないよ!
私の身体でも大丈夫って言ってくれる人を求めたりするわ」

 「なにそれ?」


 アキは不思議そうな顔をして私を見た。
ワインの酔いのせいでどんどん正直になってゆく……

 当たり前なんだけど、目の前のアキも高校生だった頃のアキじゃない。

 多分、いろいろな事があって、大人の男になったんだわ。

 女には興味なしを押し通したアキがさ……
セフレ居ますよ宣言するとビビるわよ…

 意外だって思うわ。

 月日ですかね…
お互い、変わりましたね……
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