溺れる恋は藁をも掴む

満月の夜に

 メールを送ってから、ドキドキしながら歩いていた。


 バックのファスナーを少し開けて、携帯の様子をちょこちょこチェックしちゃう、乙女心。

 アキからの返事が来たら、すぐ分かるようにしたいじゃん……

 来るかな……



 家には真っ直ぐ帰らず、返信を待ちながら、目的もなく、街をブラブラする。


 少し汗ばむ季節。

 ウィンドーショッピングをしながら、時間を潰した。

 その間も、ちょこちょこ携帯を手に取り確認する。



 あ!!
うわー
ヤダァー

 『今夜、会いましょう』になってんじゃん!!

 やっちゃったよ……

 都合が合えばとか予定なければとか、付けるの忘れてた……


 これってさ……
香澄に感化されたまんま、勢いで打ってしまったけど……

 相手の都合なんて考えてないし、今夜限定で会いましょうって事じゃん!

 この一文だけって、自分都合でかなり強引で図々しいよね………?




 あぁ‥‥‥やっちゃったよ………
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