溺れる恋は藁をも掴む
 今日の莉緒はよく喋った。

 ありのままのストライクを投げつけ、それを一つ一つ受け入れるのは、俺のケジメなんだよな‥‥


 「晶、
 穏やかな顔になったね。

 影があって、何考えてるか分からないところも、晶も魅力的だったけど、今の晶の方が生き生きしている様に見える。

 店に入ってきた時から気づいたよ。

 晶の心に浸透しちゃう、女アリってね。

 ちょっと悔しいけど、これはいいタイミングなんだって、また妙に納得したりね」


 「えっ、そんなに変わったか?」


 「変わったよ!
 晶が気づかないうちに、心の隙間に入りこむ女が、百合さん以外に出来たんだなぁって…
思ったよ」


 「俺自身が、莉緒にそんな風に言われるまで気づけてないんですけど…」


 「本当、バカね、晶って!

 女心に鈍感で疎くて、いや、疎いふりをしてさ……

 本当は誰よりも弱い心を曝け出して甘えたいのに、強がって自分自身を閉じ込めてんだよ!
 もう、いい加減気づけ!
 素直になれ!

 私と晶はさ…………

 そういうところが欠けてんの!
 本当は誰よりも陽だまり求めて、冷えた心を温めて甘えたいのにさ、邪魔すんだよね‥‥

ーー針穴くらいの小さなプライドが!ーー

 優しさの糸で、綻んだ心を結んで欲しいのに、とんがって格好つけんのよ!」
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