溺れる恋は藁をも掴む
 いろんな事が上手く回り出すと、勢いの波に乗り、幸せな方向に導かれていった。


 受験も第一志望が受かり、百合との約束が果たせた。

 『合格した』って報告したらさ、百合は泣きながら喜んだ。

 ワンワン泣いていたよ。

 「晶君、良かったね。
良かったね。
 もう、この事はお母さんに知らせたんだよね?」
って聞くんだ。


 百合に一番に知らせたかったから、発表終わって、直ぐに会いに来たのにさ…

 「順番違うよ!
こういう報告は、家族が一番。
あと、天国のお父さんにもね」
って言われて、少しムッとしたんだ。

 「もーう、拗ねるな晶!
後でお祝いしょうね」

 百合に晶って初めて呼ばれた。


 俺は生意気にも、初めてキスした時から、百合を呼び捨てで呼んでいたのにさ…


 百合から俺にキスしてくれた。


 「嬉しかったよ!」
って、ギューって抱きしめて。
俺、百合とずっと一緒に居たくなった。


 百合と家族になったら、一番に嬉しい事を報告出来るから……
< 205 / 241 >

この作品をシェア

pagetop