溺れる恋は藁をも掴む
 段々、強くなろうって思った。

 クレッシェンドで働いて、少しずつ借金を肩代わりしてくれた親にお金を返してました。


 離れていても、太陽の事を思い出すと涙が自然に出てきた。

 特に、同じくらいの歳の子とすれ違ったり、
似たような子を見ると、辛くて辛くて堪らなくなった。

 あの日……

 『カキーン カキーン』と爽快な音が聞こえてきたわ。

 その音に誘われるように、バッティングセンターに入ったら、晶と出逢えた。

 神様からのご褒美だと思ったよ!

 晶と宝石のようにキラキラした日々を送れた事。

 パチンコも辞められた。

 晶と居ると、そんなものに依存しなくても、毎日が楽しく過ごせた。

 私は晶の邪魔にならないように、そっと力になろうと思ったんだ。

 母親失格の私が、太陽に出来なかった分、晶にしてあげられたら……

 なんて思ったけど、とんだ思い上がりだった。

 晶のお母さんは、晶や弟さんを守る為に、どんな状況でも逃げなかった。

 強いね。

 これが私に足りないとこなんだと、 晶を通して教えられた気がしたよ。

 母親って、そういうものなんだって!


 そして、私は最悪な女になろうともしたわ……



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