溺れる恋は藁をも掴む
 アイスコーヒーを飲みながら、二人の会話は始まる……


 「いいお店だね。
やっぱり、美味しいお店は女の子に聞くのが一番!」

 「気に入ってくれて何よりです。
食べる事好きだから、美味しいお店は学生の頃から散策してます」

 「ずっと東京?」

 「はい」

 「そっか。
なら、東京の美味い店は、華ちゃんに聞くといいね」

 「そういうのは得意かな?」

 「頼もしいね!
俺はそういうの適当な感じだから、つい、並ばないで食べれるとこになる」

 「男の人は、みんなそんな感じじゃないですか?」

 「だね。
でもさ、どうせ外食するなら美味いところがいい」

 「ですよね。
それに新宿なら妹さんのプレゼント選びやすいかなって思うんです。
女の子が喜びそうなお店が沢山あるから」

 「有難うね!
面倒掛けます」

 「いえいえ…
プレゼント選びは楽しいですよ!
貰った人が喜びそうなものを探すのは、ワクワクします」


 「本当に有難う。
華ちゃんに頼んで良かった。
ところで華ちゃんはご兄弟は?」

 「姉が居ますよ」


 大学を卒業して、外資系の企業に就職したが、同じ職場の先輩と恋に落ち、来年早々には、挙式を挙げる予定だと話した。


 「おめでとうございます。
お姉さん、幸せだね!」


 「有難うございます。
姉は私と違って、出来る女ですから、幸せを掴むのも得意なんですよ!」


 何気なく、姉のことを話したつもりだった。
< 54 / 241 >

この作品をシェア

pagetop