溺れる恋は藁をも掴む
 涙は枯れる事なんてない。
悲しい、辛い、悔しいって時は、ちゃんと分泌されてゆくもんなんだから。

 目が腫れるほど泣いた。


 クリスマスの夜から、暇さえあれば泣いていた私。

 短大時代から仲良くしている、親友の香澄が心配してくれていた。   

 仕事納めで会社を終えた後、時間を作ってくれて、私の話を聞いてくれた。

 居酒屋でワンワン泣く私。

 「よしよし、良くやったよ!
まぁ、飲みなさい。
仕事納めまでちゃんと会社に行った華は、偉い!
明日からは思い存分、泣いていいから」

 オイオイ!まだ泣きなさいってか?

 芋焼酎を飲みながらそう言った香澄。
私の方は、注文したグレープフルーツ杯も飲めないほど憔悴していた。


 「だって‥‥‥私は‥‥好き‥だっ‥たんだも‥ん」

 あーマジ格好悪い!
また涙が出てきた。
おまけに鼻水も……


 「好きでもさ、上手くいかない事あるさ!」

 「分かっているけど、そんなの分かってるけど…………
 誕生日に振ることないじゃん!」


 悔しくて泣くしかないじゃん………


 「泣くほど好きな男だったんだ?」

 「好きじゃなきゃ、泣かないでしょ!」

 「だね……
それくらい好きな男に巡り会えたんだから、幸せって言えば幸せなんじゃないの?」

 「幸せなわけないじゃん!
幸せって好きが持続する事じゃないの?」

 「持続出来ない恋だったのさ!」

 「私がデブだからでしょ!」

 「デブでブスだからじゃない?」


 はぁ?
そんなにハッキリ言いますか……?
 
 ーー傷心なんですぞ!!ーー
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