これを『運命の恋』と呼ばないで!
「あら、でも婚期も近い」


驚く様な声が飛び出した。



「こ、婚期って、結婚の婚期……ですか?」


震えながら尋ねると、クレハさんはやっと掌から顔を上げた。


「そうですよ」


「け……結婚って……私がするの!?」


…と言っても今、好きな人もいないし彼氏だっていない。

それなのに結婚が近いと言われても、やはり俄かには信じ難くて。


「で、でも、死期も近づいてるんでしょう!?どっちが先に来るんですか!?」


「さあ、それは運命に聞いてみないと分からないわね」


「えっ!そ、そんなぁ〜〜」


占った割には重要な部分は謎なの!?

だったら私はどうすればいい!?


このまま死ぬのを待つ!?

それとも、婚活でも始めて結婚相手を見つける!?



「クレハさん、ナツは本当に死期が近づいてるんですか?」


落ち着いた声で智花が聞き直した。

クレハさんは私に目を向け、少しだけ黙っていたけどーーー



「今の段階ではそうと出てる。でも、それはもしかしたらこの最近の事故の影響が残ってるからとも考えられるわ」


ぶつかり所が悪かったら命を落としたかもしれないでしょう……と言われた。


「そ…そうですね。どちらの事故も反対車線に飛び出してしまっているから……」


居眠りの時も林に突っ込む前に反対車線に飛び出した。
たまたま対向車がいなかったからぶつかりもせずに済んだし、無傷のままいるのもそのお陰だろうと思う。


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